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NYLON 100℃ 34th SESSION
『世田谷カフカ
 〜フランツ・カフカ「審判」「城」「失踪者」を草案とする〜』
脚本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:三宅弘城、中村靖日、横町慶子、
   村岡希美、植木夏十、長田奈麻、廣川三憲、新谷真弓、他

2009年10月12日(月)本多劇場 I列15番

未完小説を使うといってもたぶん、
勝手に結末を作るような暴挙には出ないだろうと思った。
観ての感想は、とんでもない頭脳派。
計算づくと表現したらいやらしいけれど、
芝居を観ているはずなのに上空から眺めてるような印象を受けた。
なんかもう、スゲーわ。
ある意味、隙が無さ過ぎて生真面目かも。

カフカ作品に触れて呼び起こされる感覚・感性、
読者同士の感想談義、カフカっぽい不条理エピソードなどを
様々な表現法(設定、照明、映像、ダンス…)により、
カフカ自身とカフカ的なる世界を垣間見、
改めて不条理の面白さを確認させてもらった。
画期的で素晴らしい芝居。

と、褒めちぎりの作品である事は間違い無いのだがしかし、
二部は眠ってしまった。
一部はナンセンスコントの連続でずっと笑っていられたけれど、
二部になると収束に向かわせる為なのか、
カフカ世界の持つ不安と緊張を
日常生活の中で表現させたかったのか、あるいは
現代のピリピリ感をリンク、クローズアップさせたかったのか、
展開はあってもトーンの変化乏しく、笑える場面が全く無かった
(眠っている間にあったかもしれないが)。一本調子に眠気が。

一部でなんとなくキーになりそうだと覚えていたセリフが
まんまとラストで叫ばれてしまったのには少々ガッカリした。
とはいえそれは
ケラさんの創造力が足らないという事では決して無く、
芝居の世界に上手く入り込めていたからだろう。
そしてそのセリフを選んだ点に「真面目だな!」と感心。
真面目だからこそ生み出せるナンセンスか。

ナイロンの芝居に
ケラさんらしいナンセンスなコントやギャグを期待しても、
シリアスな結末に重きが置かれていると、
しばらく遠ざかっていたのを思い出した。
今回はカフカを取り上げたから観に行ったのだ、
ナンセンスを期待して。
その期待には確かに応えてもらったが、足らない。
私は笑いたいのだ。
劇団健康が恋しい。

NYLON 100℃

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