![]() 2008年4月22日(火)シアターコクーン 原作:マクシム・ゴーリキー 上演台本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 出演:段田安則、江口洋介、荻野目慶子、緒川たまき、 大森博史、大鷹明良、マギー、皆川猿時、三上市朗、 松永玲子、池谷のぶえ、黒田大輔、富川一人、 あさひ7オユキ、大河内浩、犬山イヌコ、若松武史、山崎一 音楽:朝比奈尚行、パスカルズ 開演前BGMに戸川純「夜が明けて」(アレンジ:平沢進)が流れて「おー」と呟く。 他も戦後、昭和を思わせる曲が流れる。 パンフレットの表紙をしりあがり寿さんが担当。どん底感アップ。 とはいえ、原作読んで無いし黒澤明監督の『どん底』も観てない。 いかなどん底だろうか。究極笑うしかない域だろうか。 夢も希望も無く人生を諦めた人々が暮らす木賃宿に現れた老人は 精神面を豊かにさせ、原作にない役柄である衛生局の男は 線引きされた存在(第三者)を意識させ、緊張感をもたらす。 打ちひしがれる住民を慰めるかのように、 または心象を表すかのように度々現れる楽団。 そして絶望的なカタストロフ。 重い。 カーテンコールでは楽団と演者が共に「カチューシャ」を演奏。 演者の中には管楽器(なんだろ?遠くて見えなかった)で 加わってる方もいたりして、音楽の力も感じる作品だった。 少し面喰ったのは大きな山場での、 緒川さんが演じたナターシャの感情的爆発。 聡明な女性だと思っていたのに、 思い込みの激しい理不尽な暴発に唖然、 舞台に距離を感じてしまった。 これはそれまでの被虐があまり描かれていなかったから かもしれない。 観賞後は何ともいえない気持ちになった。 「貧しくとも強く生きる!」みたいな嘘臭さは無く、 いたずらに希望の光を見せるような偽善も無く、 何でも自己責任という言葉で片付ける現代らしい冷たさに 助け合い精神を呼び戻そうとするような勘違いメッセージも無くて、 とてもスマート。 私みたいなもんがこんな知的な舞台観たなんて、 恥ずかしくなっちゃうじゃないの。 だから、 段田さんの美声の使い方 (普通は感心させて終わるが、そうはしない)や、 マギーさん、皆川さん、犬山さんの絶妙なやり取り、 全体通してのロジカルセンスなど、 笑った所を思い出しながら帰った。 ハラショー。 (この日の公演はWOWOWが撮影) PR ![]() ![]() 忍者ブログ | [PR]
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