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2011年8月25日(木)本多劇場
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:古田新太、八嶋智人、犬山イヌコ、大倉孝二、
   入江雅人、八十田勇一、平岩紙、山西惇、
   山路和弘

ケラさんのインタビュー等で、
『犯さん哉』とは別のコメディを目指すつもりでいた所に
東日本大震災が発生し、構想を変えたと知った。
今は前作の世紀末観(感)が現実に起こったような状況、
続編という見方も出来るかもしれない。

中心に据えられているのは原発事故。
犬山さん演じるアルジャーノンを登場させたのは
あの曲を使う為(だけではないけど)だろう。
と、時事を取り上げていても、主張や思想を挟む野暮は無い。
一応のスジを辿りつつも
矢継ぎ早に繰り出されるナンセンスギャグ。
その構成は政府が国民に見せている無責任なファンタジーを
皮肉っているようにも思えたが、あまり深く考えても。

観てる間は笑い通しで、余計な思考ノイズなど入らなかった。
没頭したからか、終演後しばらくは作品の世界から出られず、
現実との関連性を見出しては、その巧緻に唸っていた。

(以降、ネタバレに近いので、構わない方は「続き」へ)


あの、カメラ目線を送るように客席に顔を向ける動作は
モンティ・パイソン風と云っていいだろうか。
G・チャップマンみたいな表情で演じて下さっていたろうに、
私の席は最前列で上手側、正面から見られず残念だった。

アドリブだと思わせる演技力も凄かった。
テンションを瞬時に変える、けど、それも演技、でも、悟らせない。

目の前では古田さんがブリーフいっちょで場を乱しまくっている。
いちいち技量に感心してたりは無い。

売れ行きが悪いらしいパンフレット(開演前に嬉々として購入!)には、
「ナンセンスコメディは好きだけど体力的にしんどい」
といった話があって、それはもう、確かにそうだろうと思う。
後半、更にスピードアップしたコントで畳み掛けるのだ。

震災後、自粛ムードが世間を覆った。
毎日、不安にさせられる情報を浴びている。
大きな被害を受けなかった私でもストレスで不調になった。
震災前は「笑いは免疫になる」との療法も紹介されていたのに、
なぜ封じ込めるのだろうか。
在りし日を思い出して悲嘆に暮れるだけではバランスが取れない。
楽しく過ごした時も思い出したい。
何となく抱え続けている喪失感や無力感に対抗出来るのは、
私の場合は「笑い」である。
この作品はそんな思いから選んだものの一つ。
笑う以外に何も必要としなかった。

このご時勢だから、という訳では無さそうだけど、
上演に心より感謝。

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