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シティボーイズミックスPRESENTS『動かない蟻』
2011年9月16日(金)世田谷パブリックシアター
作・演出:天久聖一
出演:シティボーイズ(大竹まこと、きたろう、斉木しげる)、
   中村有志、荒川良々、辺見えみり

何年か前に行った時には舞台と自分のテンポが合わず、
眠気との戦いが辛くて、以来、生で観るのは避けていた。
しかし今回は作・演出が天久さんだという事で、
スピード感と破壊力の向上を期待しての参上。

開演前BGMや最中にジャズ風のクラブミュージックが流れる
洒落た雰囲気は変わらない。
天久さんらしいナンセンス、ド下ネタ、鋭い時事ネタ、
その裏にある‘我々が壊した故郷(帰る場所)’への
反省や後悔の念に、
笑える嬉しさとやりきれない気持ちが交差した。

(以降、若干のネタバレあり)

バラエティ番組での姿しか知らなかった辺見えみりさん、
キレイどころとしてだけでない存在感があった。
様々なタイプの衣装でも楽しませてくれて、
中でも喪服での所作が素敵だった。
似合ってる!と思ったのはウエディングドレス。
見た目の上品さと言動・行動の遠距離ぶりは相当なもの、
だけど無理が無く馴染んでいて好印象。

荒川良々さんはアフタートークで
大竹まことさんに「上手い」と褒められていた。
あの朴訥な風貌は天性のものだとして、
演技力にも恵まれるとは稀有。
比べ、きたろうさんのオランウータンは中村有志さんに
「物を運んでるようにしか見えない」と酷評。
設定からすれば下手でいいような気もするけど。

物語はムチャクチャなようで前フリというか、
伏線が用意されていて、後に繋がる場面が出て来る。
きたろうさんと荒川さんが演じた
複雑な境遇を経ての出会いは名場面だ。
生真面目なラストよりもドラマ性でいえば上かもしれない。

そのラストは東電や政府への叱責と取ったが、
お盆の時期でもあり、忘れてはいけない出来事として
脳に刻み付ける意図も感じた。
そういった意向を表現し観客に訴える事に意味を持たせるには、
各人が日本を構成している国民の一人であるとの自覚を強める
必要がある。今はまだ弱ってる人も少なくないだろうから、
何かと「立ち上がれ!」と焚き付けるのは賛成出来ないけど。

バカバカしく笑える場面が多くても、
チラチラと考えさせられる要素も透けて見えて、
繊細な構造に思えた。
タイトルを知った時はスネ毛で作る蟻を連想したが、
観劇後には強い批判精神の現れであると気付いた。
もう原発事故を意識せずに暮らす事は不可能なのだ。

終演後、ロビーに田口トモロヲさんがいらした。
全然変わってない!カッコイイ!
真面目に考えながら歩いてたのに一瞬で俗を取り戻した脳。

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