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7月上旬。
仕事を終えて帰宅した午後3時、
隣に住む祖母から長距離トラックドライバーの父が
交通事故に遭ったとの報告を受けた。
その時は骨折も無く軽傷という診断だったが、
翌日、血液成分から異常な数値が出ており、
人工透析が必要になるかも知れないと担当医から聞いた。
一変した容態に、電話ではなく直接説明したいとの事で、
急ぎ山梨の病院へ。
埼玉からだと、一度新宿に出て中央線で高尾、
さらに中央本線で韮崎に、約4時間半かけての道程である。
往復だと約9時間。特急は使わない。お金が無いから。

祖母や叔母から「わからなかったら駅員さんに聞いてね」など、
小学生に一人で遠出させるかのようなアドバイスを受けた
私がした事は、ネットで病院の地図と
電車の経路・停車駅を探し出してプリントアウト。
特に必要な書類などはなく、単身向かえばいいそうで、
それだけでも気が安らいだ。パパッと段取り。

が、全く寝付けなかった。
父の容態を心配する以上に、
これからの生活がどう変化するのかが気になって。
こう↑表現すると自分本位で冷たい感じだけど、
治療に向けて頑張るのは父で、
私のすべき事はその為の環境を整える以外に無いから。

社長さんに事情を話してお休みをもらい、
事故の二日後、病院に行き、担当医から説明を受け、
父とも少し話をして帰って来た。
「来たのか。遠かっただろ?」と言いながら涙を浮かべていた。

事故の概要は、深夜の高速道にて、
まず父の運転するトラック(14t!)が接触され、
その傷を二人で確認していた所に、更に後方からトラックが突入。
父は二台のトラックに挟まれた後、ガード外に投げ出された。

幸い、すぐに救急車が到着して病院に搬送、応急手当てを受けた。
一時期は肝機能の低下が心配されたが、
最終的な診断は右大腿部筋肉の挫滅と骨盤底部の骨折。
いずれも治療に時間のかかる怪我ではあるけれど、
脳も内臓も無傷、後遺症も無いとの事で、
ホッと安心、肩の力が抜けた。

帰りが遅くなるといけないからと、事態把握を済ませた後は
手短に諸々の処理を父と打ち合わせ。
「じゃ」と椅子から腰を上げた時、ふと素っ気無い自分に気付いて
父に手を差し伸べてみたら、力強く握り返された。
すり傷だらけだったけど、力は入れられるんだと安心しつつ、
思い起こせば、父と手を繋いで歩くとか、一切して来なかった。
親とスキンシップを取って来なかった子供としては結構な衝撃。

連絡を待っていた叔母に祖母への報告もお願いして、
気楽に帰宅の途へ。
しかし、心配の余り待ち伏せていた祖母は、
改めて私を呼んで知っている事を全部説明させた。
以降、私に郵便物を渡したいだけで
大声を出しながら家中を拳で叩いて騒ぎ、
留守電に「隣りのおばあだよ。わかってるね?」と入れて脅す、
ヒステリックな行動に出たり(トイレにも入れねえ)、
快復が進んで車椅子が使えるようになったと報告すれば
「一生車椅子なんだって?」と誤解するなど、
頭の痛くなる日々が続いた。今は頻度が落ちたけど、
小学生以来、全くといっていいほど関わって来なかったから、
これほど極度の心配性だったとは知らなかった。
父の苦労が忍ばれる。

本当の大変さはこれから。
事故により父の誠意無い暮らしぶりが明るみに出、
8月末にはホームレスになる所だったのだ。
のん気に「二人でアパートで暮らせばいい」とか
笑いながら言う父の顔が憎たらしく映った。
その資金はどこから出すのさ。
何十年もかけて払って来たローンがパーになるんだぞ!
どうして自分の苦労を簡単に手放せるのか、理解に苦しむ。

山梨の病院から、自転車で20分の病院に移動。
容態や治療、リハビリのスケジュール以外に
生活の改善、倹約の心構えなど話す。
「入院してからタバコを吸いたい気持ちが全く無くなった」と、
月々3万はつぎ込んでいた嗜好品代が浮かせられると嬉しそうだ。
帰り際に「一緒に頑張ろうな」と、今度は父から手を出されたが、
握りたくなかった。人に頼って生きるとはこういう事なのだ。
父に取って私は大きな負担だったに違いない。

今後は自分の収入だけで何とかすると宣言したはいいものの、
やばい。
今の会社を辞めようと思ってはいたが、このご時世、
すぐに転職先が決まるとは思えない。
ダブルワークか?

猛暑で日が落ちてからの出動とはいえ、病院や役所、
慣れない場所への右往左往で体力がどんどん失われている。
事故があって以降、ストレスで軽度の睡眠障害も出、
今は風邪引き中。
母にも祖母にも「ちゃんと食べてる?」と心配されているが、
無理して食べていた頃からすると、俄然健康的。
それでも体調崩してるから説得力無いけど。

事故を機に、自立への気持ちがより強くなった。
腰が重かったのは、私の弱っちい精神面を心配した両親から
「無理して社会に出ない方がいい」と言われ、
それに反発せず甘えさせてもらって来たから。
モノの考え方は自立的でも、実体はどっぷり依存的で怠惰。
のっそり行動の遅い私は周りに世話を焼かせるタイプだから
引きこもってる方が世間の迷惑にならないと思ってもいたし。

全く誰にも頼らず生きるのは、
自分以外の誰かに取っては
頼られる事で自立を確認する機会を奪うようなものだ。
独りで生きて独りで死ぬのもいいけど、
私には誰かを幸せにしたい気持ちがある。
それは血の繋がっていないパートナー。
父と結婚してるような生活を長く続けるのはよろしくない。

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