『ミレニアム1~3』 ヨーロッパ製らしい陰鬱な雰囲気でのアクション作品。 男に虐げられ続けて来た女の高潔な戦いも、 マンガっぽい構成とSM要素の強さに笑ってしまった。 『ソラニン』 タイトルから真っ直ぐにジャガイモの芽を思い浮かべ、 どんな中毒性を表現しているのかと、観た。 描かれている物語はマンガで使い古された要素を 現代風に再構成しているに過ぎず、新鮮さは感じない。 社会に入る、あるいは受け入れられる為に 摘まなければいけない芽。 それは「夢」なのか「本音」なのか。 それが毒となってしまう社会とは何なのか。 そういった青臭い場所で自己愛に浸りたい時や 懐かしく思い返したい時に合う作品であった。 『ドラキュラ』 最愛の妻を失い、神を恨んで魔の道へと進んだ王。 ラストは宗教上の理由か少々優等生な感じで物足りないけれど、 王を演じたゲイリー・オールドマンの技術 (さすがに目の光は残っていても、命が消えた瞬間の演技が脳裏に) が見られて良かった。 昔懐かしい撮影法と当時最新であったろう特殊メイクが 妙な融合を見せ、大変ぶきみ。 その不気味さとのコントラストをクッキリさせる 美しい役者、美しい衣装。 ドラキュラ作品の魅力は聖と魔。 その間で揺れる心理描写で優劣が決まるように思う。 エンディングで流れるこの美麗な曲は 純愛の落とし前にふさわしく、涙を誘う。 Annie Lennox『Love song for a vampire』 PR 『さまよう刃』 娘を殺された男の復讐譚を周辺人物の心情や 現在の若年層が持つ自己中心性にも触れて冷静に描き、 単純な勧善懲悪で済まない 複雑化した人間社会を真正面から見ているようだった。 ラストは犯人が憎過ぎて甘さや美しさを感じたけれど、 男が分別を保っていた証明だから、納得せねばだな。 『蛇にピアス』 痛みでしか生きている実感を得られない女と、 彼女を巡る2人の男の物語。 ピアッシングや刺青、SM志向のセックス、 路上での暴力沙汰など、一般には無縁と思われがちでも、 居酒屋や焼肉店で普通に飲食している場面を挿し込む事で 壁一枚も隔てない世界であると表現する。 それが良くも悪くも、凡庸な少女マンガ風物語 (女1人を男2人が熱烈に愛す。これだけで十分陳腐)の 薄っぺらさをも浮き出させていた。 未読だが、役者の熱演と優れた演出で語るに足らない原作と推測。 妙に豪華な脇役陣に首をかしげた。 番組表で調べたら監督が蜷川幸雄さんだった。 なんちゅうもったいない事を。 『アバター』 途中40分くらい寝てしまった。 それでもたぶん、その間は軍人と研究員の対立と 異星人との恋愛模様を描いているだろうから、 全然影響無いと思う。 進化の途上で自然との共生を選んだ種と 資源を食い尽くす種とを対比させて、 「で?」って感じ。 異星人との設定でいかにも新種を作り出したように 宣伝されてたから期待したのに、 アフリカ大陸の範囲を出てない。 人間(アメリカ人)を皮肉りながらも、しっかり ‘(神に)選ばれし者’として王座に着かせようとする所が きたねーよな。 こういう作品が興行成績1位獲っちゃうのか。 何を観てるんだろう。 答:映像技術 『第9地区』 最後まで身を乗り出して観た。 ‘中空に浮かぶ宇宙船’って構図には 反射的に美を感じてしまう。 強烈に異次元を印象付かせる、 マグリットの作品を観てるようだった。 現実世界と地続きな所も良い。 人間のエゴが剥き出しで、 異星人を気の毒に思うほど。 ドキュメンタリータッチで進むのも良い。 お任せなエンディングにも満足。 えげつない殺戮・暴力場面は観客を選ぶだろうけど、 傑作。 『GOEMON』 独特の映像と物語・設定なんだけども、 どこかで観たような…と源泉を探りながら鑑賞。 ギリシャ悲劇、シェイクスピア、実写化アメコミ。 日本の活劇エッセンスも見える。 歴史観、先入観を覆すキャラクター設定が目新しい。 織田信長を異様にカッコよく描いているのは監督の嗜好? 演じた中村橋之助さんが舞うシーンに拍手。 理不尽な演出が所々見えて苦笑するも、 そもそも映像が過剰華美である為に 娯楽として割り切ったが、 ピカレスクにも取れる暗い結末には 退廃や厭世の匂いを嗅がされた。 権謀術数の政治の世界を覗くような雰囲気もあり。 面白かったけど、一貫して‘人間不信’が横たわっている。 精神的に参ってる時には観ない方がいい作品だと思った。 『空気人形』 「もしもダッチワイフが心を持ったら…?」。 この幻想的アイデアを現実の中で動かすとどうなるか。 何が凄いって、心を持ったはずなのに、 誰を相手にしても彼女のセックスは空しく映る。 人形が心を持っただけで自分の性別などを認識し、 ほぼ人間としての行動を始められるものなのか? ほんの数日で典型的女のセリフを言うようになるのか? といった疑問を持ったままでは楽しめないので 娯楽として割り切ったが、心以外にも必要なアレが 足らない事が原因で悲しい結末を迎えてしまった。 映像はシミジミと真面目に空しさや悲哀を表現しているが、 1時間以上かけてやっとツッコミが入ったように見えて、 私の方が空気抜けてプス~。 アート系でオサレだとは思うけれど。 忍者ブログ | [PR]
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