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デビュー20周年記念。
CDのBOXセット発売は珍しくないけれど、
アルファベット順は前代未聞。
利用者の多い携帯プレイヤーに合わせたアイデア
と考えるのが妥当か。
しかし特設ブログによると、
曲間を自然に仕上げる努力をしているとの事。
矛盾している。
後にパッケージを見て、そのコンパクトさから、
CDの収録時間、流行のエコ指向、コストパフォーマンス等を考えて
枚数を減らしたかったのだろうと想像した。
ま、どうでもいい。
購入を決めた理由は手持ちのCDが劣化した時の保険と、
監修に藤井麻輝さんを据えた事。
メンバー無視の丸投げBOXだったら買わなかった。
以降、思い出話と共に率直な感想をネッチリと。

1 [A-Be]
A SHEPHERD'S SON
余計なノイズの処理、音のメリハリ、音圧と、整えられた感じ。
ボーカルが前に出て来ているのも嬉しい。

「こういうリズム好きだよなあ森岡さんは」と思った当時。
羊飼いの息子→キリスト教の牧師さんという事で、
歌詞からは聖典解釈を巡る紛争を想起。
跳ねるリズムに達観、諦念、憤怒の混ざった詞が乗り、
官能で表現される。
許しの愛を誘惑者である悪魔が歌ってるようなもの。
ホントひねくれてる。(←褒めています)

AFTER IMAGES
清々しい森の朝を思い浮かべる美しい曲調、優しい歌声。
なのに、未練たらしい歌詞。それがダメであまり好きではない曲。
‘思い出は美しく作られていく’って含みがあるなら凄い。
♪からみ付く の所は好きだけど、ライブではズッコケる。

new recording '95
深みを増した歌、新しく入れられた女性コーラス、
(たぶん)生ピアノの音、
イントロのギターに他の音が入って来るタイミングの面白さなど、
格段の差。
『INCUBATE』の頃は既に飽きていて、
活動停止を大きく受け止めていなかったけれど、収録された
『THE ULTIMATE BEST OF SOFT BALLET』を聴いて
これだけのアレンジ力を備えながら…と初めて惜しく思った。

AMERICA
歌詞の設定からDEPECHE MODE(以降、DM)
「Master and Servant」をイメージした。
元々既存曲のフレーズなど拝借の多いSB、
詞のアイデアまでパクるかと呆れたが、
曲中に森岡さんのつぶやく「American Japanese」で回避、
ストレートに表現される批判精神にニヤニヤした。
しかし、同じくDMの「Personal Jesus」風アレンジで
ロックに仕上げられていた為、オリジナル濃度が低く、
あまり好きな曲ではない。

※リミックスへの感想は割愛。
不所持のリミックスアルバム『ALTER EGO』は質の高さを感じた。

BACKLASH
ハァ~、いい声。腰抜ける。
あまり生演奏されなかったのが残念。
ちょろっと入るピアノが美しくて好き。

ただ、未だに詞の内容とタイトルの繋がりがわからない。
誰かおせーて。

BELIEVE IN A BLUE WORLD
これはDMの「Little 15」、かな。詞が別物で安心した記憶が。
主人公が同じ年少者でも、
この詞に描かれた坊やの純粋っぷりは泣ける。
遠藤さんが好きだという『かもめのジョナサン』を思い出す。

2[Bl-Br]
BLACK ICE
初めてアルバム『EARTH BORN』聴いた時、
気に入った曲の作者を確認するとほぼ100%藤井さんで、
この曲でビシッと終わらせるカッコ良さにもシビれた。

詞も前半の鬱々とした状態から一転して
後半の前向きな悟りへと抜ける清々しさが心地よく、
アルバム中、一番のお気に入り。

BLOOD
デモ音源だと思った。
恒例の如きDMからのアイデア流用も、これは酷い。
真面目な反戦の詞も、同じ言葉が繰り返される為に
実は睡眠不足を訴えてるだけなんじゃないかと思った。

BODY TO BODY
どのバンドもだけど、デビュー曲の強さで今後が決まる感じ。
メタルパーカッション素敵。

たまたま見たテレビ埼玉の音楽番組でPVが流れていて、
印象的なサビに「なんだ、このバカバカしさは」と興味を持ち
アルバム購入、改めてちゃんと歌詞を読んだら
肯定と否定を繰り返してるようで、
やっぱり何言ってんだかわからなかった思ひ出。

Live
このNHKホールでのライブは
とにかく遠藤さんがどうかしちゃってて、珍しく(?)森岡さんが
そのハイテンションに引っ張られていたのを思い出す。
鉄骨オブジェ、真っ赤な舞台、凝った照明、
ほぼ全曲に施された新アレンジ。
あの場に居合わせたシアワセたるや。本当に良いライブだった。

BORDER DAYS
ジャズだ。へー。
…何この歌詞。
この人いくつ!?
と、自分の年齢忘れて作詞した人(=遠藤さん)の年を調べた。
4つ上なだけでこういう倦怠感を歌えるって、どんだけ早熟なのさ。
間奏のボンボン言う所はドゥーワップではなく
クラフトワークが頭に浮かんでいた。
全然違う。

BRILLIANT FAULT AND SKY WAS BLUE
詞によると子供達のキャッキャはしゃぐ声とか、夢の中での出来事。
リゾート地や理想郷を夢想している様子が痛々しい。
音で表現されている平穏さの影に潜ませた
現実の荒廃ぶりを想像したら安心して聴けたもんじゃない。
ビデオで観た有明コロシアムでのライブでは
バラの花束を手にしながらエレガントに
「うふふん♪」な感じで歌ってたけど、詞はコレだもの。
シニカル。

3[Ca-En]
CANTIGAS
そうだった。SEもカッコ良かった。
こんなカソリック!なグレゴリオ聖歌で始まるライブ、ありえない。
その個性が面白かった。

COMA BABY
COMAといえばTHE SMITHS「Girlfriend in a coma」。
それで昏睡状態を意味すると辞書を引かなくてもわかった次第。
この詞が指すBABYはまだ卵の中にいて、
ふさわしい時が訪れたら割って出て来る事になってるけれど、
結局出ないまま終わり。そういう世界が見えている。

ところどころアラビア語(たぶん)の音声サンプリングが入るのは
社会派らしい意味を持たせているのだろう。
中東は沢山あり過ぎて該当する問題が特定出来ない。

鉄の音とギターが良い。
ピアノも良いけど、間奏の所は
音の一つ一つが詰まってるように聴こえる。
もったいなし。

CONSCIOUSNESS
このBOXで初めて聴いた。
意図的に低い所でメロディを展開させているよう。
こういう歌い方いいなあ。好き。
声楽家の血筋か、難なく歌いこなせてる風がまたニクイ。

DEEP-SETS
詞が抽象的で難解。隠喩の連続。
でも訴えてる事は一貫してるから不可解ではない。
『INCUBATE』聴いた時、
この曲だけ欲が無く完成度が高いと思った。
いつもアンコールの無いSBのライブ、
慣れてるからサッサと帰ってたけど、
この曲を演奏された後は他の曲を聴きたくなくなってしまうので、
ラストの定番となったのをありがたく思っていた。

EARTH BORN
名曲ではあるけれど音色やらフレーズやら、
DMから借りる以外に無かったのかと惜しく思う。
真似るのがいけないというよりも、手柄を持って行かれる。
文明の自然との共存ベタを憂える詞は現在も有効だ。

95年版は私の中でSB史上一位の歌唱。

EGO DANCE
歌い出しの終末を週末だと思って
「すっげー近い!」と勘違いしたあの頃。
PVで藤井さんがゴジラ風に変化(へんげ)していたのは
詞の通りに核を意識したからであろう、
そして遠藤さんはダンスを担当したのであろうと推測したけれど、
森岡さんはわからなかった。今思うとあのスパンコールの衣装は
グラムロックを意識していたのかもしれない。
世紀末少年といえばT-REXだから。
ものすごい今頃感。
ライブでは上領亘さんのドラムが一番良かった。

ENGAGING UNIVERSE
ABBAの「DANCING QUEEN」かつ、
宇宙とチューニング(=チャネリング)。
とうとうイッてしまった感。
絶対的孤独の否定=みんな無意識下では繋がってる、
は、なぜに意識すると薄気味悪く、恥ずかしく感じるのだろうか。
詞は単に視点を宇宙レベルまで上げてみようと云ってるだけに
思えなくも無いが、森岡さんの持つ
パァ~ッとした天使的明るさにはビビる。
これが二人の理想世界なのかな(←藤井さんは?)。

4[Es-Fr]
ESCAPE
OMD「エノラゲイの悲劇」。CNN始まりそう。
歌詞は原爆搭載の戦闘機が日本に向かって飛んでいる最中で、
2ndでも引き続き戦争を意識した詞が多くある点に、
SBの存在を珍しく感じていた。
どこぞのインタビューで遠藤さんが
機体を女性に例えたなどと発言していた記憶があるけれど、
そういう感じはしない。
当時、投下担当者は原爆のなんたるかを知らされていなかった
と聞いて、勇気ある撤退と解釈した「ESCAPE」は
不適当かもしれないと思った。
実際はどうだったんだろう。

EXIST
初のクリスマスソングという触れ込みだったはずが、さすがSB、
鐘の音が入ったりしてそれらしい雰囲気はあっても、
詞に恋人達なんか出て来やしない。
冬の光景から急に信念の話になるし、そもそもタイトルが実存。
そのストイックさに笑った。

EYE
初聴き。
映画音楽みたい。
あるいはアルバムの転換位置に据えられそうな。
実験的映像と合わせて聴きたい。

FAIRY TALE
森岡さんに合わせて作ったような詞だと思った。
自己陶酔。自己憐憫。
時々V系とカテゴライズされてしまうSBの
ナルシスティックな側面を感じた。
「美しいあなたを~」「醜い僕は」って、あ~気持ち悪い。

戦争中、兵士が休息を求めた森で見た夢をイメージ出来たのは
遠藤さんだから。
森岡さんが歌ってたら二度と聴きたくなくなりそう。

FAITH IS A
この曲でSBに完全にハマッたと思う。大好き。
ついでにNITZER EBBも聴くようになった。
少し前にはDAFも。

詞はあまり意味が無さそう。
タイトルは韻を踏んでるだけっぽい。
そういう遊びが見える所も好き。

FINAL
これは遠藤さん以外歌えない。
ライブで相当聴いた。
これ歌うだけで1kgぐらい軽くなってそうだった。
カラオケやコピーで頑張る人えらい。

オリジナルの『愛と平和』で聴くとシャリシャリ感あるけど、
このBOX版はそれが無くなってる。
高音の処理を変えたのかな。聴き易い。

FLOW
遠藤さん作詞作曲!初!って事で期待して聴いた。
争いが終わるよう願う詞が多いから
作る曲も沈静化を目指すのかもしれないけど、
「全身こういう個性の人なのか?」と思った。
確かに紛争絶えない世界とはいえ、
そこばかり見てたらウツを患いそう。

サビのJesus~の所は痛烈批判と受け取った。
何かしらグサッと鋭く刺す言葉入れる。
こういう眠たい曲でも。

FRACTAL
フラクタル幾何学が注目され出した頃で、トレンド逃さないな、と。
その理論は短いフレーズ・リズムを繰り返す事で使われたと
解釈してもいいような気がするものの、音楽素人ゆえ自信無し。

冒頭の野心的なモノローグ(一応歌ってるのか?)が明けて
「待ってました!」な御登場+美声で♪幕が上がる~と始まるが、
その後white redで終わってしまうので
紅白の幕を頭に浮かべてしまう。

赤と白は何の象徴だろう。血と肉かな?肌の色かな?
詞はどっちを虚像として考えたらいいのか迷う。
両方だったりして。

5[Ge-La]
GENE SETS
鉄の門が開閉しているような音と陰鬱なピアノが良い。
タイトルは
‘遺伝子にあらかじめ組み込まれているもの’
の意味に取った。
藤井さんの好きな音だけで構成されているようだから。

GODDES
途中からチューブラー・ベルズ風ピアノが入って来る、
好きなSEの一つだった。
『愛と平和』CMでも使われてたっけ。
遠藤さんが指で顔をなぞるのを見て、身体表現の豊かさを感じた。

HOLOGRAM ROSE
初めて聴いた時、「すさまじくダサい」と思った。
元ネタが思い浮かぶ、キメキメな部分を使い過ぎ。
カッコイイ所寄せ集めてカッコ付けるなんて、
とんでもなくカッコ悪い。
4ピースバンドでやってみたらいい。
死ぬほど恥ずかしい仕上がりになるはずだから。
歌詞は毎度の如く
問題意識強く皮肉たっぷりに客観視すると同時に、
必ずその絶望的な場所から抜け出そうとする人物を描く。
今と変わらず不屈の精神。
しかしメシアを何度も繰り返されるとメシ屋に聴こえて来るのだ。
ま、お腹減ってる(渇望の)歌だからいいけど。

HYSTERIA
PV作ったら面白くなりそうな曲だと思った。
『青ひげ』とか『オペラ座の怪人』とか、ゴシックホラーのイメージで。
3人ともゴスな衣装似合いそうだし。
プリンセスは是非、イザベル・アジャーニに演じていただきたい。

INFANTILE VICE
言葉が出ない。素晴らし過ぎて。
95年版のノイズまみれアレンジも最高。
リマスターで更に良くなっちゃった。どうしてくれる。

INSTINCT?
言葉遊びみたいな詞と
「踊る阿呆に見る阿呆」な能天気リズムが楽しい。
バカになれ!(猪木)

JAIL OF FREEDOM
やっぱり「猿回し」って言ってるよなぁ。
人間は猿ですか。回してるのは誰ですか。
音も詞もず~っと反復してるのがまた牢獄にいる雰囲気。
最後の音は首輪を繋いでいた縄を切って
ブンブン振り回してるように聴こえる。
「裏返せ」た?

JARO'68
なぜこの事件を取り上げたのだろう。
投影?

そういえば、これだけ社会派な歌を歌ってても
インタビュー等では深く掘り下げてもらえなかった気がする。
議論になっちゃうからか。それじゃ仕方ないね。←自己解決

JEWEL SNAKE
堂々とした歌いっぷりながらも詞の意味わからず。
森岡さんのポップセンスによって引っかかり無く聴けてしまうが、
それだけに印象薄い。

KO・KA・GE・NI
森岡さんはマーティン・ゴアの完コピ狙ってんだろうか。
と思った以外に感想無し。

LAST FLOWER
美しいピアノに優しい声で来て欲しくない未来を歌われる。
ウットリしたくても出来ない。
そういう作風か、SBは。

6[La-No]
LAST SONG
遠藤さんがNHKホールで解散を発表した日、
開演前に物販で『FORM』を購入した。
歌詞だけでも読んどくかとブックレットをパラパラ。
この曲の詞はタイトルから受ける印象とリンクして、
何かしらの終わりを予感させた。
ふと気配を感じて舞台袖を睨んでいると、
裏からカメラのフラッシュのような光が漏れ出た。
一部のお客さんが黄色い声を上げていたので、
メンバーの誰かが写真でも撮っていたのだろう。
何の為に?
そういったヒントを抱えたままライブは始まり、
回答は最後のMCで与えられた。

当時、『INCUBATE』でSBの持つカラーが定まった
(あるいは「こういうのが好きなんでしょ?」と
 第三者に合わせて作る)ように感じ、
次のアルバムでその後を決めようと思っていたが、
決める前に終了を宣言されてしまい、出来に関係なく、
リアルタイムでリリースやライブを追うファンではなくなった。
『FORM』にはわずかに共同制作の芽が生えていて
後の新しい展開を期待させたけど、
既に飽きが来ていたし、発表された作品群はどれも好きだし、
惜しむ気持ちは湧かなかった。

後にネット上でメンバー(藤井さんかな?)が
既にお亡くなりあそばしたSBを応援したり、
活動再開を望み続けているファンを
‘亡霊’と呼んでるとか何とかってのを読んで、首をかしげた。
そのたとえに合わせるなら、死んだのはSBの方だ。
ファンは心中していない。生きているからこそ復活を望む。
置き去りにされたとの嘆きを抱えているかもしれないが、
一人一人連れて歩いていたつもりはないだろう。
また、召還するのは霊能者の類であり、現れたとしても器が違う。

作者が何をしていようが生み出された作品は手元にある。
聴きたい時に聴く。

ところで、曲で歌われてもタイトルから抜けてるね。
何が?
「LOVE」が。

(2に続く)

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