![]() 2007年5月18日(金)シアターコクーン 1F R列 8番 作:井上ひさし 演出:蜷川幸雄 音楽:宇崎竜童 出演:古田新太、田中裕子、段田安則、六平直政、壌晴彦 他 ギター演奏:赤崎郁洋 あらすじ:享保の年、塩釜の地。表向きは魚売りの小悪党が、 醜女だが気立ての良い嫁をもらい改心するも、お産費用工面に 通りすがりの盲人を手にかけ、金を奪う。 生まれた子は因果か、盲目。 その恐ろしさに父は自害し、母は一人で子(古田新太)を育てる。 しばらくして子は地元の座頭を師に持ち、 杉の市の名をもらい、才覚を表す。 ところがある日、地位を利用して悪行を重ねる検校に付いていた 結解役を刺してしまう。逃亡の為、一言別れを告げようと 母の元へ行くが、過って母をも殺した杉の市は 「もはや悪事を止める枷は無い」と腹を決める。 旅支度をして師の家に赴けば、むせるような血の匂い。 師とその女房・お市(田中裕子)が刺し違えていたのだ。 この主殺しはお市と共謀したもの。 その後、共に江戸に向かう予定だった。 頼む者も無く、一人で都会に乗り込んだ杉の市は…。 開演は鋭い笛の音。それから三味線を模した激情のギター演奏。 少し琵琶の雰囲気もあり。同じ弦楽器ではあるけれど、 アコギでここまで表現出来るとは。この素晴らしい演奏を受け、 語り手役の盲太夫(壌晴彦)が当時の盲人を巡る事情などを わかりやすく伝えていく。左右の電光掲示板には 場や歌詞が表示され、濃密な舞台から客を振り落とさない配慮。 舞台は縦横に縄を張り、 杭をスライドさせて線引きを変えるなどの表現。 空間に縄を張る、これは晴眼者には邪魔に思えるものだ。 しかしそれを頼りに生きるのが盲人である。世界観の明らかな違い。 目玉のシーンは杉の市の早物語。 リズムに乗せて次々に物語を展開させて行くという、 噛んだら最後の芸。 他も決して地上波に乗せられないセリフや歌の数々。 覗き見や野次馬の楽しさに近い。悪趣味。 終演も笛の音が響き、大悪党の最期を悲しく厳しく伝えた。 享年28。 PR ![]() ![]() 忍者ブログ | [PR]
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