![]() 2009年6月21日(日)彩の国さいたま芸術劇場 小ホール さいたまゴールド・シアター 第3回公演『アンドゥ家の一夜』 作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 演出:蜷川幸雄 簡単なあらすじ: ポルトガルに住む安藤が危篤状態と知り、 かつての教え子達が続々と訪れる。 スジらしいスジは本当にこれだけ。 最期を迎える安藤や その周囲に起こる出来事の数々が展開されるのみ。 シンプルではあるけれど、そこはケラさん。 全劇団員が高齢であるとの特徴を、クローズアップされがちな 体の衰えではなく恋愛に重きを置いた、 ドライながらも温かみのあるドラマに仕上げていた。 持ち味であるブラックな笑いは無かったけれど 十分笑えたし、楽しめた。 プログラム付き3000円は安い!ちょっと心配になったくらいだ。 「アンドゥ」は隣家のポルトガル人夫婦が 「あんどう」と発音出来ない為に。 英語のUndo(元通り)と関係あるのか考えながら観た。 ラスト、何度も「アンドゥー!」と繰り返し呼んでいたのが 印象に残っている。 そんな感動的場面のずっと前、プロローグの後だったろうか、 役者全員が挨拶代わりに(?) 両腕をバレリーナのように上げながら 舞台の端をゆっくり縦列で歩いた。 あれはきっとフランス語カウントの 「アン、ドゥー、トロワ」からの連想だ。ズッコケ。 他、死神との対話や実体の無いお別れの挨拶といった、 死に際して起こるオカルティックな場面には現実感が無く、 逆に死を恐ろしいものだと特別視させない効果が 出ていたように思った。 6/14『INU×KERA』の時点でも まだ出来上がっていなかった脚本。稽古は不十分に違いない。 ケラさんはいつも沢山の仕事を抱えていて、 脚本が遅れるのは今回に限った事ではない。 客入れ後も開演ギリギリまで稽古を続けていたのは演出の一つだ。 という事にする(愛)。 上演中は舞台近くで蜷川さんを始め、 数人のプロンプターが控えてセリフの抜けをフォローしたが、 それは終演に差し掛かる数シーンだけ。 演技力の差や間の悪さに引っかかりつつも、 イラッと来なかったのは真剣さが伝わって来たからだろう。 「平均年齢70歳」との先入観無しには観られないからこそ 楽しめる劇団だと思う。年齢に縛られない命の輝きを感じられた。 もっともっと稽古を積んでたら 傑作になったろう惜しさはあるけれど(笑)、 制約が良い方向に傾いたのか無駄が無く、 初めてもう一度観たいと思えた芝居だった。 観に行って良かった。 PR ![]() ![]() 忍者ブログ | [PR]
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