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2011年12月23日(金)あうるすぽっと
出演:熊谷和徳、KAZ TAP COMPANY「TAPPERS RIOT」、
   ワークショップ参加者
演奏:今谷忠弘、太田真由美
ゲスト:七尾旅人

タップのカッコ良さは、特に
北野武監督作品『座頭市』のエンディングシーンで
強く感じた。
鈴木慶一さんの祭囃子(和のリズム)をベースにした曲に乗り、
和服に下駄で生々しくタイトに踏み鳴らす人々。
そこには懸命さや活力がみなぎっていて興奮した。
もちろん、上記作品の指導&出演のHIDEBOHさんと
今回の熊谷さんはカラーの違うダンサーだろうし、
何しろ未見。同様の期待感を持ってはいなかった。
訪れた大きな理由は、私の発表会に足を運んで下さった
Uさん(一応伏せます)が舞台に立つ!から。
御礼というだけでなく、知り合った方が何かしらの表現をしていれば
それを観たり読んだり聴いたりしたいのだ。
そんな単純な動機だったけれど、
タイトルから受ける楽しげな印象にとどまらない内容に、
自然と姿勢を正していた。
熊谷さんは東日本大震災で最大の被害を受けた宮城県のご出身。
名状しがたい喪失から再起へと心を持ち上げるのは、
想像の域を超えるご苦労であったろうと思う。
意図せずして、『座頭市』でのシーンから得た懸命さや活力を
別の個性から再び感じ取る事となった。

会場でいただいたプログラムを読みながら開演を待つ。
暗転。
後方から白い衣装に身を包んだ出演者が数名、
座席通路を舞台に向かって、しめやかに歩いて行く。
観客も舞台に誘うような優しいオープニング。

(プログラムより)
1.いのちの祝福
2.Little drummer boy
3.子どもの願い
4.サンタさんがやってくる
5.みんなにとってのクリスマス
6.ふれあうこと
7.踊ること~TOHOKU
8.奪われること
9.祈り
10.IKIRU
11.希望へ

雪が降っている時の独特なノイズカットされた空間と
エレクトロニカが作る音像で響く、リズミカルな靴音。
激しく打ち鳴らす場面にも繊細さが垣間見える。
上半身にしなやかさを残している方、
地盤を固めるかのように両足でダン!と降りる方と、
鳴らし方にもダンサーそれぞれに個性があって見ごたえがある。
熊谷さんはつま先で円を描き、
トトトッと鳴らすステップ(?)が印象に残った。
出す音の強弱や間隔に厳密なまで神経を行き渡らせている。
この動画の冒頭で似た踏み方が。


Kazunori Kumagai:Trio Improvisation(FRAGMENTS)

中盤で登場したゲストの七尾旅人さん。
電気グルーヴのステージに現れたのをチラッと観ただけで、
どんな表現をするのか知らなかった。
こたつが似合いそうな衣装(あるいは浪人生風)で、
最初は被災後の故郷や人々を思いやる詞を乗せた弾き語り。
次はクリスマスソング(「きよしこの夜」?)を観客と共に。
それからギターを肩から外し、
足元の機材に手を伸ばして電子音を鳴らす。
熊谷さんとセッション。しばらくして椅子から立ち上がり
下駄でタップを踏み出して笑いを提供。
なんだかチャーミングな方であった。

この後、スクリーンに映し出された被災地の映像が、
夜明け前に撮影されたからだろうか、
現在の状況を表現しているかのように見えて震えた。
まだ文字が読めるほどの光量には足らないけれど、
そばにいる人の輪郭は確認出来る。
頼りたくなる体温とその先にある兆しを掴もうとする思い。

ワークショップ参加生と踊る場面はエンディングで最高潮。
会場大揺れで大迫力。
緊張感も伝わって来たけど、健気な頑張りに拍手!

靴音で「赤鼻のトナカイ」(たぶん)のメロディを表現した場面で
「タモさんか!」と突っ込むような不真面目さで楽しみつつも、
恨みつらみを排したプラスのベクトルのみで構成され
沢山の思いを感じられる、深みあるステージだった。

以降は観た翌日、UさんちのBBSに書き込んだ感想の一部。

観ながら、厳粛、優美、静謐、純朴、原点回帰、
そんな言葉が頭に浮かんでました。
踏み鳴らしているのは板でも時折大地に見える、
そんな生命力も感じた公演でした。
ゲストの七尾旅人さんの叙情的な歌と下駄ップも
良かったです。
全員で同じステップを踏むシーンは心臓に響くド迫力でした。

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