![]() 『ミレニアム1~3』 ヨーロッパ製らしい陰鬱な雰囲気でのアクション作品。 男に虐げられ続けて来た女の高潔な戦いも、 マンガっぽい構成とSM要素の強さに笑ってしまった。 『ソラニン』 タイトルから真っ直ぐにジャガイモの芽を思い浮かべ、 どんな中毒性を表現しているのかと、観た。 描かれている物語はマンガで使い古された要素を 現代風に再構成しているに過ぎず、新鮮さは感じない。 社会に入る、あるいは受け入れられる為に 摘まなければいけない芽。 それは「夢」なのか「本音」なのか。 それが毒となってしまう社会とは何なのか。 そういった青臭い場所で自己愛に浸りたい時や 懐かしく思い返したい時に合う作品であった。 『ドラキュラ』 最愛の妻を失い、神を恨んで魔の道へと進んだ王。 ラストは宗教上の理由か少々優等生な感じで物足りないけれど、 王を演じたゲイリー・オールドマンの技術 (さすがに目の光は残っていても、命が消えた瞬間の演技が脳裏に) が見られて良かった。 昔懐かしい撮影法と当時最新であったろう特殊メイクが 妙な融合を見せ、大変ぶきみ。 その不気味さとのコントラストをクッキリさせる 美しい役者、美しい衣装。 ドラキュラ作品の魅力は聖と魔。 その間で揺れる心理描写で優劣が決まるように思う。 エンディングで流れるこの美麗な曲は 純愛の落とし前にふさわしく、涙を誘う。 Annie Lennox『Love song for a vampire』 PR ![]() 3月11日(金)14時46分。 終業時間近く。 地震慣れしていても普段とは違う揺れの大きさと、長さ。 みな「出た方がいい!」などと騒ぎながら外へ。 所持品もコートも全部持って出た私は恐怖と好奇心が半々。 地割れを恐れて「畑に逃げた方がいい!」と皆を呼んだ 大阪出身の方に地元出身の専務さんが 「畑はダメだよ。液状化するから」と冷静に指導 (実はそこは田んぼ。訂正しない専務さん人格者)。 新潟での大地震を経験した方は 「騒ぎ過ぎよね。こんなもんじゃないんだから」と、 落ち着いている私に同意を求めたが、 怖がる気持ちもわかるから、 作り笑顔で答えるしかなかった。 仕事場に戻ると空調設備の一部が下に落ちていた。 変化らしい変化はそれだけ。 いつも通りに片付けてから退社。 ![]() The Cure『Why can't I be you?』 タイトルはロバート・スミスが懇意にしていた 友人の一言と記憶している。 相当イラついたのだろう、能天気な曲に付けた歌詞は 大げさで的外れな称賛に溢れた褒め殺し。 ムチャクチャな表現も並ぶ。例えば ♪everything you do is simply dreamy, everything you do is quite delicious ♪you're so perfect,you're so right as rain と、おかしな形容。 「quite angelicate」は「すっごい天使!」とでも訳すのか? とにかく薄気味悪い絶賛の嵐で、 ♪kiss you from your feet to where your head begins は足からのスタートで、かしずいているのが目に浮かぶよう。 テクニック的にも、 メロディに合わせるにしても「君」を3回使うしつこさや、 「頭の始まってる所まで」って表現が上手過ぎて卒倒。 むやみに持ち上げる人達へのウンザリ感が伝わって来る。 そんな皮肉たっぷりな曲を更に強化するPVは 羨望の的とされるポップスターなんか「所詮こんなもの」と、 「これでもまだ僕になりたい?」と訴えているようでニヤリ。 ラストの衣装がまたわかりやすい事この上無し。 世界規模で成功を収めたミュージシャンの心情は 想像する外無いが、何気ない一言にイラッと来て作った曲が アレンジや歌詞、PVも含めてジメジメした方向に行かず、 パーッと笑える方向に仕上げたのは極めてポップな所業。 拍手。 ![]() 『さまよう刃』 娘を殺された男の復讐譚を周辺人物の心情や 現在の若年層が持つ自己中心性にも触れて冷静に描き、 単純な勧善懲悪で済まない 複雑化した人間社会を真正面から見ているようだった。 ラストは犯人が憎過ぎて甘さや美しさを感じたけれど、 男が分別を保っていた証明だから、納得せねばだな。 『蛇にピアス』 痛みでしか生きている実感を得られない女と、 彼女を巡る2人の男の物語。 ピアッシングや刺青、SM志向のセックス、 路上での暴力沙汰など、一般には無縁と思われがちでも、 居酒屋や焼肉店で普通に飲食している場面を挿し込む事で 壁一枚も隔てない世界であると表現する。 それが良くも悪くも、凡庸な少女マンガ風物語 (女1人を男2人が熱烈に愛す。これだけで十分陳腐)の 薄っぺらさをも浮き出させていた。 未読だが、役者の熱演と優れた演出で語るに足らない原作と推測。 妙に豪華な脇役陣に首をかしげた。 番組表で調べたら監督が蜷川幸雄さんだった。 なんちゅうもったいない事を。 ![]() イアン・マッカロク。 たぶん、このPVが起爆剤。 Echo&The Bunnymen『Seven Seas』 1:45過ぎたあたりでブッ倒れされたに違いない。 80年代はUK音楽シーンが流入していて、 イアンを使った作家は2~3人しか浮かばないけど(笑)、 まるで似顔絵だった。 表紙にドドーン!と使ってるのを見た時は半ば呆れた。 モブでなら全然引っかからないけど、 知ってる人間からしたら容れ物に使われてるように思えて。 そんな印象も残すエコバニだけども、音楽の方は 硬質ながら怠惰で皮肉屋な雰囲気のままポップという 難しいスタンスを築いていて、今でもたまに聴く。 Echo&The Bunnymen『Bedbugs and ballyhoo』 アルバムに収録されてるアレンジの方が好きなのは プロデュースしたレイ・マンザレクの色が強いから。 あの可愛いオルガンの音をカットしてしまうなんて。 そういえば歌詞が難解な事でも有名だった。 意味が通らなくても音に合う言葉を選んだような詞。 アートワークも優れてた。 このアルバムはアントン・コービンが全面的に。 (余談) 今後、曲単位での配信がメインになると 音、写真、絵、映像といった才能を集めた作品が 世に出にくくなるかもしれない。 その捌け口がMAD動画などに繋がってるのだとしたら、 編集家という職業が生まれたり? 著作権管理大変そ。 ![]() ![]() 忍者ブログ | [PR]
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