![]() 2007年6月1日(金)青山円形劇場 NYLON100℃ 30th SESSION 『犬は鎖につなぐべからず 〜岸田國士一幕劇コレクション〜』 作:岸田國士 潤色・構成・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 和装監修:豆千代 振付:井手茂太 出演:松永玲子、みのすけ、村岡希美、長田奈麻、緒川たまき、 萩原聖人 他 一幕劇、犬、和装。この3点に惹かれ、久しぶりにナイロン公演へ。 開演前BGMは初期トーキング・ヘッズ。 モダンとニューウェーブの関係に思考が傾きそうな所を パンフレットを読んで回避する。 岸田國士さんはもちろん、豆千代さんも井手茂太さんも 知らないから集中力たっぷりで知識注入。 岸田さんが過ごした時代背景と現在とに 共通項を見出したお陰で再びモダンとニューウェーブの関係に 思考が傾きそうになった所で暗転。 一幕劇コレクションという事で、 一本終わる度スクリーンに作品名と演者が示される。 そのBGMがイギリスやフランスのパンク・ニューウェーブで、 時代が変わる前後期に生じる不安や破壊衝動、 ワクワクの入り混じった空気感。 舞台変換時は暗転にせず、演者が踊りながら。 振付は一人一人バラバラ。 ここでは初期P-MODELの曲が使われていた(他の曲はわからず)。 また、明らかに作り物の犬を粗野に投げ込む所なんかは ケラさんの芝居らしくて笑う。 今回は女優陣が素晴らしく、特に、 日に日に松居直美化への加速度が増してるような 松永玲子さん最高! 見た目松居さんでも、面白さは遥かに凌いでいた。 村岡さんも良かった。 ナイロン所属の女優さんは聞き返す時の表情と間がとても良い。 客演の緒川たまきさんは大正時代からタイムスリップして来たような、 たおやかでいながらも凛とした佇まいが美しかった。 男優陣は物語的に情けない男達が多くて、 引き立て役に甘んじてたように思えた。 これは私が女だからそう感じたのかもしれないけど。 夫婦関係を軸にした作品達は 庶民の見栄と本音を平行に見せるものが多く、 特に衝撃を与えるような事件が起こらずとも 次の展開を期待させてくれる魅力があった。 奥深い。 ナイロン100℃ PR ![]() 『ENDLICHERI☆ENDLICHERI PRESENTS Neo Africa Rainbow Ax FUNKY PARTY 2007 at The ENDLI. WATER TANK 2』 2007年5月27日(日)お台場・青海J地区特設会場 ノマディック美術館を抜けて青海駅の通路から。 すごい資本力。 ちゃんと最寄駅からサンカクが見えるようにデザインされてる。 そりゃ飛行機も飛ぶって。 エンドリさんといえば紫。 道行くお嬢さん方は紫色を使った服を身に着け、にこやか。 私もその一人。 会場内トイレの照明も、蛍光灯に薄布を通して紫色に。 サンカクのオブジェもこんな感じで。 他、ロビーにはエンドリさんの描いた絵やギター、 ライブ中にスタッフが撮ったお客さんの写真を貼ったボードを 囲むようにベンチを置いた休憩エリア (客入れ前にここで打ち合わせなどしているそう)、 グッズのディスプレイと物販ブースを分けて混雑を防ぐなど、 コンセプトは元より環境の隅々まで可能な限り気を配っている。 また、自動販売機の値段が上乗せされてない所に良心を見た。 でもパンフレット作らずガチャガチャに力入れるってどうなんだ?(笑) ロビーからはスロープを上がった先が見えず、 「何かあるぞ」の推測は当たり。 客席への通路が三角形。底は強化アクリル板(?)。 水が流れ、時に流れ星のように光が遮るのが見える。 紫の照明とも相まって、とてもロマンチック。 この数メートルを抜けた先には ライブ写真のパネルが並び(警備員付き)、 ちょっと高校の文化祭のような遊び心が可愛い。 席はC5ブロック8列6番。遠いがセンター寄り。 会場正面は前回と同様、大きなスクリーン。 左右は、光れば竜が空を縫うがごとくに見えるよう組まれた照明。 前方中央にミラーボール。 BGMはモータウンやファンク。 ![]() 2007年5月27日(日)ノマディック美術館 展覧会だけを目的に上京する事が無いのは 入場料が電車賃より低いから。 ゆえに、何かのついででしか美術鑑賞はしない。 今回はエンドリさんライブの前に時間を作って突撃。 電車の中吊りで見かけた写真が美し過ぎて気になった。 前情報として公式サイトを覗いたら写真集のお値段に卒倒。 「なんだろう、このセレブ感」。 この疑惑を抱きながら、初のお台場を横目に投降。 夜はライトアップされて美しかった。 しかし撮らなかった。なぜならば。 特製の和紙に代表作をプリントしたものが数枚、 等間隔に回廊を飾る。 そこを抜けると映像ブースが3箇所(15分×2、1時間×1)。 写真も映像もヒトと動物との交流が描かれている。 テーマは共生。 長時間かけて撮影されたそうだが、 それは馴れを待っていただけのように思えた。 人間を敵視させぬ努力がなければ、こんな写真は撮れまい。 (飼い)馴らされた動物との‘共生’などあり得るだろうか。 ピューマやヒョウといった猛獣との間に流れる静かな時間。 とても感動的だけれども、なんだか不自然。 もし撮影中に2〜3人食われてて、その事実を隠さなかったりすれば、 素直に美しさを感じられたかもしれない。 本当の共生は食ったり食われたりがあってこそじゃないだろうか。 「この子はペット、この子は家畜」みたいな差別が見えて感じ悪い。 実際に平和な交流が生まれていたとは思うのだけれど、 ドキュメントとしての魅力は乏しかった。 アートだからと云われれば…ハイそれまでよ。 建材は貨物コンテナ。移動した先で借りての設営。 空調設備は無いか、最低限度に留めていた様子(暑かった)。 そう、とても環境に気を遣っている。 が、光の当たる景色ばかりを賛美していたが為に、 「闇を知らずに光は生きるか?」の疑問が抜けなかった。 写真も映像もとてもキレイ。とてもキレイだった。 だけど、人間の自己満に動物を付き合わせてるように見えて 罪悪感持っちゃった。 ボランティア好きの金持ちが騒ぐエコ活動にまで考えが及んじゃって、 アートを楽しむ気分にはなれなかった。 ハイエナとのシーンだけは良かった。ハイエナが生きてた。 ![]() 2007年5月26日(土)初台 The DOORS メンバー:KERA(Vo.)、三浦俊一・朝内雅俊(Gt.)、 杉山圭一(Syn.)、YANA(Dr.)、平井義人(B.) ゲスト:ハッカイ(Erhu.&Gt.) 開演前BGMはニューウェーブ。 出囃子は7月に発売予定の犬山イヌコさんの新譜から。 歌詞が3行しかない「なんだそりゃ」な歌に笑う。 衣装は全員お揃い。 半袖のツナギ(白)にオレンジのラインを入れたデザインは ニューウェーブらしさ全開でカワイイ。 機材は自家製シンセパッドが消えたくらいで、 大きな変化は見当たらず。 演奏曲は新譜『15 ELEPHANTS』からを中心に、 有頂天の旧曲なども合わせて。 杉山さんが歌う「ドリル節」では ケラさんと三浦さんが引っ込んだからか、 一気に後進者バンドの雰囲気に。 ![]() 2007年5月18日(金)シアターコクーン 1F R列 8番 作:井上ひさし 演出:蜷川幸雄 音楽:宇崎竜童 出演:古田新太、田中裕子、段田安則、六平直政、壌晴彦 他 ギター演奏:赤崎郁洋 あらすじ:享保の年、塩釜の地。表向きは魚売りの小悪党が、 醜女だが気立ての良い嫁をもらい改心するも、お産費用工面に 通りすがりの盲人を手にかけ、金を奪う。 生まれた子は因果か、盲目。 その恐ろしさに父は自害し、母は一人で子(古田新太)を育てる。 しばらくして子は地元の座頭を師に持ち、 杉の市の名をもらい、才覚を表す。 ところがある日、地位を利用して悪行を重ねる検校に付いていた 結解役を刺してしまう。逃亡の為、一言別れを告げようと 母の元へ行くが、過って母をも殺した杉の市は 「もはや悪事を止める枷は無い」と腹を決める。 旅支度をして師の家に赴けば、むせるような血の匂い。 師とその女房・お市(田中裕子)が刺し違えていたのだ。 この主殺しはお市と共謀したもの。 その後、共に江戸に向かう予定だった。 頼む者も無く、一人で都会に乗り込んだ杉の市は…。 開演は鋭い笛の音。それから三味線を模した激情のギター演奏。 少し琵琶の雰囲気もあり。同じ弦楽器ではあるけれど、 アコギでここまで表現出来るとは。この素晴らしい演奏を受け、 語り手役の盲太夫(壌晴彦)が当時の盲人を巡る事情などを わかりやすく伝えていく。左右の電光掲示板には 場や歌詞が表示され、濃密な舞台から客を振り落とさない配慮。 舞台は縦横に縄を張り、 杭をスライドさせて線引きを変えるなどの表現。 空間に縄を張る、これは晴眼者には邪魔に思えるものだ。 しかしそれを頼りに生きるのが盲人である。世界観の明らかな違い。 目玉のシーンは杉の市の早物語。 リズムに乗せて次々に物語を展開させて行くという、 噛んだら最後の芸。 他も決して地上波に乗せられないセリフや歌の数々。 覗き見や野次馬の楽しさに近い。悪趣味。 終演も笛の音が響き、大悪党の最期を悲しく厳しく伝えた。 享年28。 ![]() ![]() 忍者ブログ | [PR]
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